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税法に関してだけで言えば、程度の違いこそありますが、毎年のように改正は行われています。
しかし、2019年は2017年5月26日に民法改正の法律案が承認・成立したことを受けて、大幅な改正が行われました。
今回は相続税・贈与税に関して、従来と大きく変わった制度について説明しましょう。
簡単に言うと、
「個人事業を営んでいた家族が亡くなり、跡を継いで同じ事業を営むときに事業用資産を相続したら、その分の相続税・贈与税の支払いが猶予される」
制度のことです。
従来から法人については、「法人の自社株式(非上場株式等)の相続税・贈与税の納税猶予の特例」が設けられてきましたが、これが、個人事業主にまで拡大されたと考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、この納税猶予制度の適用を受けるためには、以下に挙げる条件を満たす必要があります。
他にも、様々な要件を満たさないと、この制度は使えません。
事前に、認定支援機関として登録されている税理士等の専門家と話し合った上で、使うかどうかを決めるのが現実的でしょう。
小規模宅地等の特例とは、事業用・居住用の宅地等の相続税の課税価格を軽減することで、事業を続けたり、その住宅に住み続けたりしやすいようにするための制度です。
つまり、一定の条件を満たした宅地については、相続税を計算する際の評価額を80%減額できる仕組みになっています。制度自体は従前より用いられてきましたが、問題点もありました。
関連:小規模宅地等の特例とは?遺産相続が始まる前に知っておきたいメリットとデメリット
問題点とは、この制度を利用した人で、相続をしてからすぐに宅地を譲渡した人がいたことです。
会計検査院が2017年11月にまとめた「租税特別措置(相続税関係)の適用状況等についての報告書」によれば、相続により土地等の財産を取得した人のうち、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに譲渡していた人は2907人でした。
このうち、243人が小規模宅地等の特例を適用していたとのことです。さらに、この243人が行った宅地等の譲渡273件について、「どのくらいの期間で譲渡したのか」を調べたところ、次のようなデータが得られました。
つまり、大半が1年以内に手放してしまっていたということです。
参照:会計検査院「租税特別措置(相続税関係)の適用状況等についての報告書」
本来、小規模宅地等の減額の特例は、「そこに住み続けたり、事業を続けたりする」前提で設けられました。
しかし、実態はその前提とはかけ離れてしまったということです。
制度の本来の前提を実現するために、主に、
の3点について、改正が行われました。わかりやすくするために、改正前と改正後の規定を、表形式でまとめています。
内容 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
①別居親族の適用要件 | (イ)被相続人に配偶者及び同居の相続人がいないこと (ロ)相続開始時から相続税申告期限までその宅地等を所有し続けていること (ハ)相続開始前3年以内に国内にある自己又は自己の配偶者が所有する家屋に居住したことがないこと |
(イ)同左 (ロ)同左 (ハ)相続開始前3年以内に国内にある次の者が所有する家屋に居住したことがないこと ・自己又は自己の配偶者 ・3親等内の親族(12-9参照) ・特別の関係がある法人 (ニ)相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがないこと |
②貸付事業用宅地等の 範囲 | 相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等が特例の対象 | 相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、特例の対象から除外(ただし、相続開始前3年を超えて特定貸付事業(※2)を行っている場合を除く) |
③被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲 | 要介護認定等を受けていた被相続人が老人ホーム等に入所したことにより、被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、特例の対象 | 介護医療院(※)に入所したことにより、被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等を、特例の対象に含める |
※介護医療院とは、2018年4月より創設された、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とした、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設を指します。
2013年に、最高裁判所で「婚外子の相続分も、嫡出子の相続分と同等にする」という判決が下されました。
これ自体は画期的な判決ですが、同時に、早急に解決すべき問題も発生したのです。
「婚外子の相続分も、嫡出子の相続分と同等にする」は難しいので、簡単な言い回しにしてみましょう。
「正妻との間の子も、愛人との間の子も、父親が同じなら相続分も同じになる」ということです。
もちろん、両者の話し合いがうまくまとまれば問題はありません。
しかし、まとまらなかった場合、「配偶者=正妻が家を出ていく」という展開も考え得るのです。
このような問題が出てきたことを鑑み、配偶者居住権の制定に至りました。
残された配偶者(妻、夫)が、もう一方の配偶者が亡くなったときに住んでいた建物に、亡くなるまで無料で住み続けられる権利を指します。
なお、この権利を得るためには、次の3つの条件を満たさなくてはいけません。
なお、配偶者居住権は相続税法上の相続財産でもあります。
そのため、評価額を計算し、相応の相続税を支払う必要があるのです。
配偶者居住権の基本を踏まえ、その他のポイントを解説しておきましょう。
配偶者居住権を取得できるのは、条件を満たした配偶者だけです。
そのため、他の人に譲ることもできません。
仮に、一緒に住んでいた建物が、亡くなった人と配偶者本人以外の人とで共有していたものだった場合、配偶者居住権の対象にはなりません。
※亡くなった人と配偶者本人との共有だった場合は対象になります。
配偶者居住権は登記することで、第三者に対抗できます。
配偶者居住権が認められているのは、戸籍上の配偶者だけです。つまり、正式に入籍していない妻(内縁の妻、事実婚)の場合は、使えません。
配偶者居住権が建物に設定されていても、所有者の承諾があれば、他の人に貸し出すことも可能です。その際に受け取る賃料は、配偶者居住権を持っている配偶者に帰属します。
「長男の配偶者が、実家の家族の介護をする」という話は、決して珍しいものではありません。
しかし、相続という観点からは、重大な問題を抱えていたため、今回、改正が行われました。
生命保険文化センターの調査によれば、介護期間の平均は、4年7カ月とのことです。
参照:公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?」
約5年にわたる長丁場なので、支える家族にもかなりの負担がかかります。
当然、携わった家族の誰かが「自分はここまで頑張ったのだから、亡くなったときはそれなりの金銭を受け取りたい」と思っても、不思議ではありません。
しかし、法定相続人以外の人は、それなりの金銭=寄与分の請求はできない決まりです。
つまり、先ほど触れた「長男の配偶者が、実家の家族の介護をする」というパターンでは、長男の配偶者は、寄与分の請求はできません。
あまりに公平さを欠くという意見を受け、改正に至ったのです。
簡単に言うと、法定相続人ではない親族が、無償で被相続人の療養・看護などを行った場合、その親族が法定相続人に対し金銭を請求できる制度を指します。
先ほどの例でいうと、長男の配偶者が、長男・次男などの法定相続人に金銭の請求をできるということです。
新設された制度であるため、スムーズに運用が行われるかは、まったくの未知数です。
最低限、以下の点には注意しましょう。
法定相続人=他の家族が、「確かによくやってくれていたよね」と、献身的に介護を行った事実を認めてくれれば、特に問題はありません。
しかし、必ずしもそうはいかないケースも考えられます。
その際、介護をした証拠を残すと、特別寄与分を請求する上で有利になります。
介護日誌をつけたり、ケアマネージャーやヘルパーなど、外部協力者とのメールのやり取りを残したりなど、「証拠になりそうなもの」は取っておくようにしましょう。
他の相続法に基づく制度と同様に、特別寄与料制度も、法律婚を前提としています。
つまり、いわゆる事実婚の場合、この制度は使えませんので注意しましょう。
既に知っている人もいるかもしれませんが、民法における成人の年齢が、20歳から18歳に引き下げられました。
それに伴い、未成年者を前提とした特例にも、変更が加えられています。
相続税・贈与税に関して言えば、以下の制度において、対象者の年齢要件が引き下げられます。
なお、これらについては、2022年4月1日以降に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産についての相続税・贈与税から適用されます。
お孫さんの教育費を出したい、という理由で、貯蓄や投資に取り組む人は少なくありません。
このように、「孫の教育費を贈与したい」という人のために設けられている制度が「教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」です。
祖父母(贈与者)が金融機関に子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出します。
その口座から教育資金を払い出していくことで、最大1500万円まで贈与税が非課税になる制度です。
実際は、教育資金の払い込みの際に受け取る領収書等を金融機関がチェックします。
また、子・孫等が30歳に達する日に、口座等に対する優遇措置は終了し、その時点での使い残しに対して、贈与税が課税される仕組みです。
この制度自体は、2013年4月から経済対策の一環としてスタートしました。
しかし、2013年4月から9月までの新規契約数が40162件だったのに対し、2017年10月から2018年3月までの新規契約数は7515件と、大幅に減少しています。
参照:財務省「説明資料 資産課税(相続税・贈与税)について」
そこで、必要な見直しを行った上で、2019年3月31日までの措置だったものを2年延長する運びになったのです。
主に、
の2点について見直しが行われています。
受贈者が教育資金の信託等を受ける年の前年において、合計所得金額が1,000万円を超えていた場合は、非課税措置の適用は受けられません。
受贈者が支払時点において23歳未満か23歳以上かによって、適用できる範囲が違っています。わかりやすくするために、表にまとめてみました。
教育資金の使途 | 支払時点における受贈者の年齢 | |||
---|---|---|---|---|
23歳未満 | 23歳以上 | |||
学校等に支払われる金銭 | 適用可 | 適用可 | ||
学校等以外の者に支払われる金銭 | 以下に該当するもの ①教育に関する役務提供の対価 ②スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価 ③上記①②に係る物品の購入費及び施設の利用料 |
教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講費 | 適用可 | 適用可 |
上記以外のもの | 適用可 | 適用不可 | ||
上記以外のもの | 適用可 | 適用可 |
2017年5月26日に、参議院本会議で民法改正の法律法が承認され、成立しました。
120年ぶりの大改正となったため、民法の決まりに基づいて、相続税・贈与税も大幅に修正されています。
しかし、実際に運用してみないとわからない部分も大きいので、適宜、弁護士・税理士・司法書士・行政書士などの専門家のアドバイスを仰ぐといいでしょう。
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